投資未経験者や初心者の資産形成をサポートするために導入された、つみたてNISA。2018年からはじまった新しい制度ですが、老後の資産形成の重要性から現在、注目を集めています。そんなつみたてNISAをはじめてみたいけど、よくわからず踏み切れないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、つみたてNISAのメリット・デメリットについて初心者向けに詳しく解説します。この記事を読むことでつみたてNISAが自分に合っているか判断できるようになるため、ぜひ最後までご覧ください。
将来のお金の不安をなくすためには、長期的なライフプランを立てて将来のマネープランを作ることと、日々の家計管理が必要だと実感。保険、住宅ローン、教育費、老後資金準備など、「誰からも教わらなかったけれど生活するうえで必要なお金の知識」を、マネーコラム執筆やセミナー講師、個人相談などを通じて伝えている。DC(確定拠出年金)アドバイザー、キャリアコンサルタントの資格も生かし、お金とキャリアの相談に幅広い視点で対応。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
積立NISA口座おすすめTOP5
つみたてNISAとは、少額からのつみたて投資を支援するための非課税制度です。通常の投資であれば、得られた利益に対して20.315%もの税金がかかります。しかしつみたてNISAで投資して得られた利益には、税金がかかりません。
つみたてNISAは銀行や証券会社などで、専用口座を開設するとはじめられます。なお、つみたてNISAで投資できる金額は年間40万円まで、非課税期間は最長20年間と決められています。長期にわたって投資できるため、毎月のつみたて金は少額でもしっかりとした資産形成が可能です。
NISAには、つみたてNISAのほかに一般NISAもありますが、どちらか一方しか選べないため、違いを知って自分に合った方を選択することが重要です。
また、つみたてNISAで選べる金融商品は基本的に投資信託に限られますが、一般NISAは上場株式やREITなども選択可能となっています。
2023年与党税制改正大綱によると、2024年以降のつみたてNISAの投資枠は、現在の40万円から3倍の120万円に、一般NISAは成長投資枠として倍の240万円となる見込みです。2022年12月現在、確定ではありませんので、NISA制度の今後の動きに注目していきましょう。
つみたてNISAの最大のデメリットは、元本割れする可能性があることです。つみたてNISAはあくまで投資のため、運用状況によっては積み立て金よりも受け取り額のほうが少なくなる可能性があります。
つみたてNISAの対象商品は、金融庁に厳選されたものだけです。そのため一般的な投資に比べれば安全に投資運用ができるものの、元本保証などはありません。価格変動のリスクは避けられない点に注意しましょう。
運用対象が一定の投資信託に限られていることも、つみたてNISAのデメリットです。様々な金融商品から自由に投資対象を選びたい人には、つみたてNISAは向かないでしょう。
つみたてNISAの運用商品は金融庁が長期の積立投資に適していると判断した、公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)のみです。
例えば公募株式投資信託の場合、販売手数料がゼロ、信託報酬は一定水準以下に限定、過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を顧客に通知すること、信託契約期間が無期限または20年以上であること、分配頻度が毎月でないこと、デリバティブ取引による運用を行っていないことの、6つの基準が設けられています。
具体的な対象商品は金融庁のホームページから確認できるため、気になる人はチェックしてみてください。
つみたてNISAの商品は、金融庁の基準を満たした、長期分散投資に適した投資信託やETFです。
価格変動リスクはありますが、投資初心者にとっては、長期で分散投資に適した商品の基準を満たしているという安心感があります。
一般的な投資と異なり、損失を出しても課税される可能性がある点もつみたてNISAのデメリットです。
つみたてNISAの非課税期間が終わると、運用している商品がつみたてNISA口座から課税口座へと移されます。このタイミングで課税口座の取得価格が決まるため、つみたてNISA枠の投資信託が含み損の状態で非課税期間を終えると、税金を余計に払わなければいけない可能性があります。
例えば50万円で購入した投資信託が、40万円になるタイミングで非課税期間を満了したとしましょう。そのあと値上がりし46万円で売却したとすると、当初の購入金額から比べると4万円損しているにも関わらず、値上がり分6万円に対して税金がかけられてしまいます。
つみたてNISA枠の投資で損失がでたとしても、損益通算はできません。損益通算とは損失が出たときに、ほかの所得の利益と相殺できる制度です。利益から損失分を差し引けるため、課税額を減らす効果があります。
例えばA証券で20万円の利益、B証券で20万円の損失が出ていたとします。通常の投資であれば利益と損失が相殺されるため、課税されません。しかしA証券の口座がつみたてNISA口座だった場合、利益と損失が相殺されずB証券の20万円の利益に対して課税されてしまいます。
つみたてNISAでは、繰越控除も適用できません。繰越控除とは損失が出た場合に、その損失を3年間繰り越せる制度です。
例えば1年目に損失が50万円出て、2年目に50万円の利益が出たとしましょう。通常の投資であれば1年目の損失が2年目の利益と相殺されるため、利益は0円として課税されません。しかしつみたてNISA口座の場合、1年目の損失と2年目の利益は相殺されません。
つみたてNISAの非課税投資枠は、毎年40万までと上限が少なめです。非課税期間は最長20年のため、生涯で最大800万円までしか投資できません。
仮に年間40万円の非課税枠を最大限に使って、毎月3.3万円を利回り6%で20年間運用したとすると、最終的に受け取れるお金は約1,500万円です。老後に向けて2,000万円の資産を形成したいと考えている場合、500万円の資産が足りない計算になります。このことからわかるように、つみたてNISAのみで十分な資産形成をすることはやや難しいかもしれません。
先ほどの計算では毎月3.3万円を運用するとしましたが、つみたてNISAの毎月の積み立て額は自由に設定できるうえ、途中で変更することも可能です。ただし毎月の積み立て額が少なくなれば、そのぶん運用する元本も減るため注意しましょう。
つみたてNISAは定期的に金融商品を購入することが前提の制度のため、一括投資はできません。そのため相場が下がったタイミングで一気に購入したい、元手を大きくして短期間でお金を増やしたい、という人にはつみたてNISAよりも一般NISAの方がおすすめです。
なお、つみたてNISAの積み立てタイミングは自身で設定可能です。証券会社にもよりますが、毎日1回・毎月1回など投資の間隔を自由に選択できます。
また証券会社によっては、ボーナス支給月だけ積立金額を増やせるボーナス積立が可能な場合があります。証券会社によって購入方法は様々なため、下調べをして自分にあった会社を選びましょう。
つみたてNISAのメリットについて解説します。つみたてNISAには多くのメリットがあるため、運用を迷っている人はぜひ参考にしてみてください。
分配金や運用益に対して課税されない点が、つみたてNISAの最大のメリットです。通常の投資であれば利益に対して20.315%の税金がかかるところなので、高い節税効果が得られます。
分配金とは投資信託の運用で得られた収益を、決算ごとに口数に応じて投資家に分配するお金のことです。分配金を出すか、どれくらいの分配金を出すかは運用会社が決定します。なお、つみたてNISAの投資対象は毎月分配型ではない金融商品に限られています。
つみたてNISAの非課税期間は、最長20年間です。本来差し引かれるはずの税金も再投資して運用に充てられるため、長い年月をかければ少ない積み立て金で大きな利益を出すことも可能です。
つみたてNISAは少額から投資ができます。利用する金融機関によって最低投資金額は異なりますが、なかには100円から投資をはじめられる機関もありますよ。
投資に対して、大きなお金が必要というイメージをもつ人も多いかもしれませんが、つみたてNISAであれば毎月1,000円や10,000円など、生活に支障がない範囲で投資ができます。大きな元手も必要ないため、投資初心者でも負担なく資産形成が可能です。
つみたてNISAでは、商品購入のタイミングに悩む必要がありません。基本的に定期的に一定額を積み立て投資するため、商品購入のタイミングや金額を判断する手間が省けます。
一般的な投資であれば、チャートを見て相場の状況を確認してから商品を購入する必要がありますが、相場の適切なタイミングを図ることは、プロの投資家にとっても難しいもの。その点つみたてNISAでは相場を気にする必要がないため、投資初心者でも負担なく金融商品を運用することができます。
自動的に時間の分散ができる点も、つみたてNISAのメリットです。時間の分散とは、投資の時間(時期)を分散することでリスクを抑えて安定した利益を目指すことです。
経済動向や政治情勢など様々な理由によって、個々の資産や銘柄は上がったり下がったりと価格変動します。そのため一度に多額の投資を行うことは、リスクの高い行為と考えられますが、つみたてNISAでは、一定額を長期間にわたって投資する積立投資が基本です。
つみたてNISAでは、価格が高いときは少しだけ、価格が低いときは多く金融商品を購入することになります。これを長期間続けていると1回あたりの投資価格が平準化されてくるため、価格変動リスクを抑えることが可能です。
つみたてNISAは時間の分散ができるので、相場の状況をさほど気にせずスタートできます。
つみたてNISAは一定の金額で買付をしていきますので、上昇相場では少ししか買えなくても、下落相場では多く買うことで買付金額を平均化できる「ドルコスト平均法」での運用が可能です。下落相場になっても長期分散投資を続けることで、投資元本割れの可能性が少なくなるといえます。
つみたてNISAでは、銘柄分散の効果も得られます。銘柄分散とは分散投資の考え方の1つで、異なる資産や地域に投資することで様々なリスクを抑えることを目指すものです。
つみたてNISAの投資対象である投資信託とは、複数の資産に投資する商品です。そのため1つの資産の価値が下がってもほかの資産でカバーでき、価格変動リスクを抑えられます。投資信託によっては投資先の地域を分散している場合もあるため、国や地域の情勢や為替変動によるリスクも抑えることが可能です。
また、つみたてNISAの対象商品は金融庁が認めた投資信託に限定されています。長期・積立・分散投資に適した投資信託が厳選されているため、投資初心者の人でも銘柄選びに悩まずにすむ点もメリットです。
つみたてNISAでは、口座内の資産を売却することで、いつでも現金の引き出しが可能です。出産や子供の進学などの理由で突然まとまったお金が必要になった、そんなときでも安心な制度がつみたてNISAです。
なお、つみたてNISAと同じく長期積立を前提としたiDeCoでは原則60歳になるまで資産を引き出せません。つみたてNISAとiDeCo、どちらをはじめるか悩んでいる人は、今後起こりうるライフイベントについて考慮してみるとよいかもしれません。
つみたてNISAと一般NISAは併用できないので気をつけましょう。どちらか一方しか利用できないため、自身の投資能力や元手、投資期間などを鑑みて適切なほうを選択する必要があります。
なおつみたてNISAと一般NISAを、1年単位で変更することは可能です。ただし、変更手続きを行った年に一度でもつみたてNISAで投資信託を購入している場合と10月以降に変更手続きを行った場合は、翌年まで区分変更を待たなければいけません。
年間40万円の非課税枠を使い切れなかった場合、翌年に非課税枠を持ち越すことはできません。例えば年間20万円投資をして非課税投資枠が20万円残ったとしても、翌年60万円の非課税投資枠がもらえるわけではないということです。
年の途中からつみたてNISAをはじめて、満額の40万円まで投資をしたい場合はボーナス積立がおすすめ。ボーナス支給月に積立金額を増やせるため、非課税枠を使い切ることができます。
ロールオーバーができない点にも注意しましょう。ロールオーバーとは非課税期間が終了したときに、翌年の非課税投資枠にNISA口座で保有している金融商品を移すことです。
なお、つみたてNISAとは異なり一般NISAではロールオーバーが可能です。一般NISAの非課税期間は5年ですが、ロールオーバーすることで再度5年間の非課税期間が設けられます。ロールオーバーに上限金額はないため、金融商品の時価総額が当初の非課税枠を超えていても非課税のまま運用できます。
これからNISA口座を開設するなら、各NISAの対象商品数が多い証券会社がおすすめです。各証券会社が用意している商品には違いがあり、NISA対象商品の数も異なります。
NISA・つみたてNISAにおすすめの証券会社・銘柄や選び方は下記の記事で紹介しています。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
積立NISA口座おすすめTOP5
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